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天然の抗生物質キハダ

幻の霊木の発見

九州北部の山岳地帯であった。
御前岳の深い林道を何かないかとキョロキョロ頭を振りながら登山道に向かっていた。
1時間後に目的の登山道の入口に入りゴロゴロとした石だらけの傾斜の険しい登道を荒い息を吐いて進んでいた。
道の下は断崖でその下には渓谷があり山の麓から清流が音を立てて谷に向って流れていた。
やがてそこから400メェトル上るとシオジの原生林が雲を塞ぐように高く空を覆いつくしていた。
高さ30メエトル、幹周り3メェトルの老木がそそり立っていた。
恐るべき未開の地であった。
しばしば森の果から鳥の金切り声が静寂な空気を鋭く振動させ風と共に流れていく。
辺りははアカメガシワ,クヌギ、カエデ、モミジ、カシノキなどが密生していた。
何か獲物はないのかと珍しい薬木を一時間ほど捜索した。

壮絶な極限の生命力の探求キハダ・九州編

だが場所が悪いらしい。
これといっためぼしいものはなかった。
もう少し上に上がろう。
登山道は整備されておらず両脇は低い笹が繁り見通しが悪い。
しかも蛇の様に曲がりくねったデコボコの恐ろしほど勾配の険しい道であった。

30分ほどその道を登ると急に登り派緩やかになり空間が開けできた。
辺りは樹林が変貌しケヤキ、赤松、ソロ、クマシデの樹齢300年ほどの高木が生い茂っていた。
全身から少し汗が滲み出してきた。
此れはかなりきついなあ、とため息をつきながら視線を左右に振り回す。
すると驚くことにそこに鉛色の巨大な荒れた樹皮の老木が立ちはだかった。
樹齢400年もあろうかという途方もない大木であった。
これはデカい。
何だこれはと接近した。
植物學者でないから何がなんだかわからない。
だが高さ2メエトルの幹の樹皮を観たときそれが獣に食い荒らされたように外皮が外側に大きくめくれ上がっていた。
頭をかがめてその内側の皮をのぞきこんだ時その鮮明な原色の樹液に驚かされた。
まるでペンキのような色でその内皮からねっとりとした黄色い液体が湧き出していたのだ。

「ウヒヒイッ」

反射的に驚愕の呻きが漏れた。
こんな鮮烈な絵の具ような樹液は見たことがない。
しかも何か接着剤のような粘性がある。
思わず右手でそれを触ってみた。

「ウアアアツ」

ナマコのようなヌルリとした感触が手のひらに伝わってきた。
見ると手のひらが油絵のような黄色になっていた。

「うわわわわわ」

手の指から粘液質の液体が滴った。
それはネチネチとしていた。
何だこれは?と思わず鼻の穴に接近させた。
それは何か未知動物の生臭い臭いが漂った。
「ウヘェ」
まるでその液体は古代生物の生きた血液のように鮮明だった。
嫌それならばいいが恐ろしい不気味な有毒性をもつ未知の病原性細菌ではないのかと感じて手にベットリとついた液体を払う。
かなり高濃度の濃密な液体であった。
毒ではないのかと少しためらったが指の先端についたネバネバの液体を舌をヒョイッと出して舐めてみる。
下の裏面にそれがはげしく接触すると恐ろしいほどの強烈な刺激が激しくのけぞってきた。
猛烈な今だ経験したことがない苦味だった。
「ウェッ」
舌の皮が一枚目剥げてつんのめってくる。
これはいかんと腰にぶら下げた竹製の水筒を口にゴクゴクと飲んだ。
何度も洗い流したが舌の根元まで苦味が噛みついていた。

これだけ苦いなら胃液の分泌を高めて胃の不調を改善するのではないのかと感じた。
泥と汗、多様な汚物で薄黒く変色している歯が絵具のように黄色く変色していた。
山に入って現在まで色々な木々に接触してきたが液体と樹皮がこれほど濃密で原色なのは始めてであった。
口に含んでかれこれ30分ほどたつがこれといった毒性反応は表れない。
見るからに毒液ではないかと感じるが毒ではないらしい。
それどころか何かとてつもない霊能と生命力を持っているのではないのか思えてきた。
これほど苦くまずいのであればカブトムシもクワガタもこんな樹液を吸うこともないだろう。

だがまだまだ体験が足りない。
今度はその皮をまるごと食べようと思い登山ナイフで鉛色の肥厚鉛色の皮をそっくり口の中に放りこむ。
だが大量だったのか想像を絶する猛烈な刺激に舌がのけぞってきた。

「ウガアッ」

毒液のナイフで細胞がエグリ出されるような感触だった。
これはまずい!
もう食べないほうがいい!
猛烈な刺激物を食べたせいか、腹痛と下痢が頻繁に襲ってきた。
だが耐えられない痛み下痢ではない。
むしろ宿便が排泄され、出すだけ出すと爽快感が蘇生してきた。
健胃整腸作用があるようだ。
実は空海の開いた高野山は秘伝薬がある。
それが腹痛と食中毒の陀羅尼助である。
その主剤が黄檗、キハダであった。
むろんその主成分はアルカロイドの特殊成分ベルベリンである。
この黄色の色素がそれだ。

ミカン科の高木、キハダの起源は正確には分からないが少なくとも数万年の古代に誕生したものと思われる。
個体としての寿命はせいぜい長く生きたとしても300年ほどである。
だが種としてその個体は脈々と継承され数万年も生きてきたのだ。

その生命力、原動力は一体何なのか?

おそらくそれはキハダが自然環境の険しく乗り越えてきた進化の過程で生命体の中で合成した液体免疫である黄色の色素アルカロイドのベルベリンであった。
これがキハダ生きる生命線である。
それは天敵である昆虫、バクテリア、病原菌、原虫などの感染、捕食動物である。
私はキハダの大木の根元に腰を下ろし風景を眺めながら現製品の雰囲気を味わった。
キハダは落葉高木でミカン科で高さ大型の物では20メェトルに達する。
国内では北海道、本州、中国、四国、九州、全国各地の山林に自生している。
しばしば環境が良ければかなり群生で自生している。
むろん、漢方の源流中国、朝鮮にも分布していた。
そこでキハダの特性に興味をいだき、リュックから薬学文献を取り出した。
それは直に見つかった。
成分表には樹皮中にアルカロイドのベルベリン、マグロプロリン、パルマチン、ヤトロドリジン、メリスペリンなどの塩基性のアルカロイドが含まれる。
だがあくまで主力成分は猛烈な殺菌、消炎、抗ウイルス作用のあるベルベリンであった。
この物質がキハダの最強の効能の源である。
これがキハダが数万年も生き続けることができる生命線である。
これなくしてはキハダはないに等しい。
おそらくその他の成分も液体免疫群の一つであり殺菌、消炎、抗酸化作用、細胞活性化、成長や抵抗力、代謝促進などの働きに関与するものと考えられる。
だが次のページをめくるとさらに驚いた。
実は有効成分のベルベリンは樹皮の内皮だけでなく、木質部や根茎にも含まれるとあったのだ。
薬は皮や樹液だけでなかったのだ。
するとキハダの薬としての応用範囲はさらに広くなる。
一本の木で大量に取れることになる。

皮を剥いだキハダはしばらくは原色の濃密な液体を含みヌメヌメと光線で光っていた。
まるでソレは動物の皮膚細胞のようだった。
今にもそれらの破片が凝縮し凝結し融合して蘇生していく錯覚さえ感じた。
しばらく栄養と水が完全に途絶しても1週間は細胞がそのままの状態で生きていけるのだはないかと感じるほど鮮明だった。
これが生命力なのだ。
猛烈な殺菌力と消炎作用、抗酸化作用はおそらく破壊れた細胞の修復を助けることだろう。
人体に存在する免疫機能が未知のバクテリア、細菌などにより、あるいは打撲や滑落、裂傷、感染症などの状態になった時
キハダの殺菌、消炎、抗酸化、細胞の活性化、代謝促進、抵抗力の補助、復元力が役にたつだろう。
恐るべき薬物だ。
まさに黄金の木であった。
海底の熱噴水孔の金属イオンの触媒で物質が化学反応を起こして金の合成をやる。
まさにそれであった。
私は五枚ほどのキハダの内皮をリュックに詰めた。



やがて幽玄で静寂な森に異質な金属を割くような鋭い機械音が聴覚を痛烈に刺激してきた。
南の森の方から聞こえてくる。
木を伐採している音だろうか、そこで確かめるためにその森の方に接近してみる。
30分ほどケヤキとブナの混合林を通過するとけたたましいチェンソーの連続音が沈黙を引き裂いた。
林の奥の高木が空間を割るような物凄い音を立てて崩落してきた。
一瞬地震のような地響きが大地をゆすり停止した空気が急激に突然突風となった。
大木が地に倒れた瞬間である。
周囲の樹木の細枝がピアノ線のようなプルプルと小刻みに震える。
何か巨大な老木をノコギリで切断して倒した音だ。
行ってみると100メェトルに渡って正方形に杉と巨大な雑木が根元から切断されクジラのような屍をさらしていた。
葉が無数の披針形で樹皮は赤褐色でそれが杉だということは一目でわかった。
それらの切断されたばかりの真新しい倒木が連連と倒れていたのだ。
しかし、その中に異質な形と色をした木がまるで巨大なシロナガスクジラのように横たわっていた。
根元の部分からザックリと切断されている。
外輪は黄色でまだ生きた流体が断面から滲み出して縁に雫がたまりポタポタと斜面に落ちていた。
その樹液は時間がくると乾いて凝結しまるで動物の血小板のように結晶となり凝固し乾いていくのだ。

キバタの殺菌スペクトル

洞窟に帰還して枯木を集めて暖を取った。
真冬ではないが山岳地帯の夜と早朝は霜が降りるほど寒い。
衣服は2年間の山中の薬草探索でシャツもズボンもボロボロであったからシュロの皮を何枚も重ねて最新型のフンドシで間に合わせる。
不完全であったがまったく無いよりはましである。
むろん金玉も秘部も無防備であった。
その原人のような原始的な格好を見て自然と笑いが吹き出してきた。
これは何だ?
まさかこんな不衛生な身なりになるとはこれは酷いと唸った。
それにしても腹が減ったな!
何か食物はないのかと手掘りの狭い暗い洞窟を夜目で両手でまさぐりながら柔軟な物体をまさぐった。
すると手先に何かヌルっとした流体か個体かわからないようなへんてこな物質に接触し思わず掴んで釜戸の光の方にあててみる。
薄暗い漆黒の洞穴でしばらくすると突然ふって湧いたように空腹がこみ上げてきた。
うっかりしていたがキハダの件で気を取られて4日も何も食べていないことに気づいたのだ。
であれば今夜の夕食の準備をするところであったが後から後悔しても遅い。
何か食い物はないのかと洞窟の隅々をまさぐったがそれらしきものはなかった。
何しろ薄暗い岩の洞窟であるから有るのは岩と泥と砂だけであった。
とその時だった。
薪のオレンジ色の光で洞窟の岩の窪みに何か得体のしれない物体がヌメヌメと光っている。
何だありゃと目をこらしてみると長さ6センチ、幅が2センチほどのナメグジだった。
6匹ほど一箇所に群がっていた。
体の表面に黒い線のような模様が走っていた。
何しろヌメヌメとした得体のしれない肉質が光っているだけで食指は湧かない。
だが今日これを見逃せば5日間は何も食べないことになる。
栄養の欠乏なのか全身が鉛を背負ったように重い。
脳と胃袋、舌の味覚細胞が連投しているのかヒクヒクと胃袋が少しケイレンを起こしている。
しばらく迷っていたが背に腹は代えられず手をナメクジに向ってヒョイと伸ばす。
体を寄せ合っている集団ナメクジを5匹掴んだ。
ヌメッとした水分を含む柔らかい感触がいきなり手に触れてきた。
恐ろしいほどの気持ちが悪い感覚だった。
到底食べものとは思えないほどだ。
だが食わなければ餓死する可能性がある。
こんな無人の山で死ぬわけにはいかない。
泥のゴッソリとついた唇を噛みしめてヒョイと口にその肉の群がりを押しつけた。
ムチャプチリとした未知の感覚が掴んだ指に触れてくる。
目をつぶる思いで5匹のナメクジを掴んで一気に口の中にいれこむ。
ネチッとした濡れた肉質がベッタリ舌の先端に絡んできた。
その刺激は始めての体験だったが2度と味わいたくない強烈な刺激だった。
美味という感触にはほど遠いものだったが少しほろ苦くヌブリとしたスポンジのような感触であった。
これはさほどうまくないと唾を吐いて呻く。
流体か個体かわからないような不自然な肉の塊を一気にズルッと食道の底に落とし入れた。
「ウリャアッ」
タンパク質とコラーゲンである。
ズルズルとそれをかんで目をつぶって飲みこむ。
まだ食い足りなかったが追加の食欲は湧かない。
とりあえずこれで我慢することにした。
5日間の食事が小さなナメクジ5匹であった。
「仕方がない!我慢しょう」
どうせ原始的な野人の生活である、覚悟しなくてはならないだろう。
薬草の生命力の探究心で入った道である。
自己責任なのだ。
ナメクジを食べた後思い起こすように傷んだリックサックを取り中に入っていた板状の黄色の樹皮を3枚取り出してみる。
それはキハダが進化の過程で合成した液体免疫のアルカロイドのベルペリンであった。
猛烈な殺菌作用と広範囲な病原菌を殺すキハダの生きる生命線である。
アルカロイドは化学的に塩基性の物質でそれに多様な酸素、炭素、水素などのその基本構造に必要な元素を骨格としそれに高度な分子を組成させ高分子活性構造体を合成する能力はまさに驚異的な知性がある。
人類の科学など到底およびがつかないのだ。

キハダの細菌に対する効能の適用範囲はかなり広いものだった。

まず腎臓に障害を与える危険な溶血さち連鎖球菌、食中毒の原因である赤痢菌、コレラ菌、恐ろしい伝染病のペスト菌、オデキ、
にきびの原因になる黄色ブドウ球菌、脳膜炎菌、炭疽菌、ジフテリア菌、枯草菌、緑色連覇球菌、プルセラ菌、破傷風菌、
ウェルシュ菌、結核菌、などを抑制し抗原殺菌するのだ。
恐るべき殺菌力である。
この効力は現代医学で感染症化膿性皮膚疾患に使うストレプトマイシン、マイコマイシンと同効かそれを超える力がある。
百日咳菌にはストレプトマイシン、スルファミンなどに劣るものの臨床的抗菌実現で2種をしのぐと報告されている。
これらの病原性細菌の中にはペスト菌、コレラにあるように、人類に多大な感染症死と恐怖を与えてものがかなり見られる。
確かに日本ではペストの感染記録はないが、ヨ ーオロッパ、アジア地方ではペストの感染力毒性は強力で多大な犠牲者が続発した。ペストは数十万の古代文明都市を3日にして全滅させるという記録が数多く残されている恐るべき伝染病だ。
だがキバタのベルベリンはこんな恐怖の伝染病も駆逐するのだ。
これは何もキハダだけではなくすべての植物生命に言えることであった。
自ら隠れることも攻撃し対応できない植物ができる方法は元素を捕集し、酵素で化学反応を起こさせ有効な武器である
有機化合物を合成し生存に有利な運動量機能をもつ動物に対向することだったのだ。
その血性がなくてはこのまで生き残ることはできなかったろう。
さらに破傷風菌や結核菌も無視ができない。
結核は戦前死亡原因の第1位であったが抗生物質の開発で完全に殲滅されたと思ったが、耐性菌の出現で息を吹き返し高齢者を中心に激増しているのだ。
耐性菌は最初、抗生物質で破壊されるがその中に1パァセントが生き残る。
それらの中に抗生物質を無効にさせる遺伝子を合成し薬物が効かない機能を獲得したものが耐性菌である。
だがキハダのベルベリンは耐性菌さえ殲滅させるのだ。
これこそが恐るべき天然の毒性と副作用がない抗生物質であった。
これら耐性菌の猛威は抗生物質の乱用と畜肉、養殖魚に投薬される抗生物質の乱用も有るのだ。
食用、加工食品に含まれる保存量、防腐剤は日本人の体内に蓄積残留し常に薬物乱用にある。
こうしたことを繰り返せば必要な自体に薬物が効かなくなるのだ。
現代医薬の薬物に常飲すると生体免疫はこれらの医薬に依存し免疫能力が低下し感染症、ガンに襲われやすくなるのだ。
文明環境による免疫力低下あるいは退化が起こる。

これは驚くべきことであるがキハダのアルカロイドベルベリンは、原虫レピトビラスに対してもかなりの抑制効果が観察されている。
これはトリコモナス、カラーアザル起因原虫トリパノソーマを抑制し、ゾウリムシを殺すことができる。
かって古代植物の一種として進化の過程を歩んだキハダの先祖はある種の病原性微生物、またはポリパノゾーの感染攻撃に対して生命の危機的状況に遭遇した。
このまま無防備、無抵抗の状態で体内寄生感染を許して死ぬか、なんとかして死の危険から逃れるか2者選択に迫られた。
数多くの仲間が無抵抗、無防備の状態で死んでいくのをキハダは見ていたはずだ。
そしてその対抗手段としてリボ核酸を動かして敵を破壊させる有効な化学物質の合成に取りかかったのだ。
それはいくつかの触媒である酵素をは合成し、還元、重合、抱合、分解などの化学的に複雑な反応過程を得なくては合成できないものだった。
この有効な有機的分子構造体はそれが原生生物であればその呼吸、体液の循環、細胞のエネルギー代謝系に対してそれを阻害させるものでなくてはならなかった。
まるで全智全能の神のような仕事を意識下で動く能動的リボザイムがやるのだ。
炭素と水素、リン、酸素の結合対であるリボザイムが高度な計画的知性を発揮させる能力ははるかに人類の知性と能力を超えている。
ある物質は全てそれなりのエネルギーを持つがしかしエネルギーだけではその方向はランダムで持続性はない。
エネルギーに持続的なある方向へと向う意志を与えるものは意識であった。
意識は物質に対して生気を与え物質は形、色、そのような造形を与えながらより高度な高次の段階、高度な物質、または生命体として発展していくのだ。
此れが創造的進化である。
ある意味で生命の中枢、デオキシリボ核酸は軽減した記憶の格納庫である。
その記憶は生命体では螺旋状に無数に収納されている遺伝子が生命の種の生物学的な誕生から成長、老衰、死に至る全ての生命の構成と活動、生存に必要な遺伝子という設計情報で活動することになる。
だが未来に対する環境は未知数であり、生命はその過酷な未知の経験と出会うことになる。
それは自然環境の気象的な寒熱、物理的な地形、大気の状態、未知の補食動物の出現など様々である。
このように過去の経験に対する記憶ではなく新しい環境に適応する場合、過去の経験的情報である遺伝子ではほとんど役にはたたない。
これに対する新しい機能や形態を良くする場合は遺伝子ではなく能動的リボザイムがその役割を果たすのである。
一旦合成されたこれらの機能や形態の情報は遺伝子として未来に残されるのだ。
アルカロイドベルベリンという化学物質も一旦合成されると設計図として保存されている遺伝子を取り出してそれを簡単に複製すればいいのである。

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