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猛毒のソテツ

古生代に繁栄したソテツは約1000種ほどあったが現在では8種に過ぎない。
全体の92%が絶滅しているのだ。
これは生き残る防御攻撃機能を合成することができなかったためである。

ソテツが産み出した物質は動物細胞のDNAに侵入し遺伝子変異を起こさせてガンを発生させるのだ。

非常に有効な攻撃手段である。

動物の臓器、器官に致命的なガンを起こさせ天敵を衰弱死させる方法であった。
即効性はないが慢性的に効果を発揮させる。
そこでさらに即効性をもつ神経毒となる物質を合成二重に効果を発揮させるように仕組んだと推定できる。
恐るべきソテツの知性だ。

石炭紀から数億年の激動する自然と生物界で取得した進化はそのような毒の製造であった。
これを製造できる知性をもつソテツだけが生き残ったのである。

地球上には多数の有害有毒植物が存在しているが、それらの植物もソテツ、トリカブトと同じく可能な限りあらゆる方法で進化の過程で有毒な化学物質の合成にとりかかった。

だかその有毒物質を液体ではなく別の方法で忌避させる機能を獲得した植物も多い。
熱帯他方に自生するサボテン類は茎と葉に鋭い刺を発達させそれに接近する補食動物に苦痛を与えることにより身を守った。
これを経験で学習した昆虫や動物は二度とサボテンには近づかない。

ある植物は毒液ではないが強烈な臭気、毒ガスのような異臭を放出させることにより補食動物から免れた。
山にあるクサギやヘクソカズラがそれだ。

クサギ
ヘクソカズラ

このような防御形式は欧米やアジアの芳香植物にみられるものである。

たがこの機能の獲得は単純なものではない。
それを合成するには、その動物に嗅覚という感覚刺激受容体があり、どのような臭いに拒絶反応を示すかを選択しより有効な物質を合成し放散させるのだ。
これは恐るべき植物の知恵である。
こうした臭気物質の製造には想像以上の複雑で精巧な頭脳的な悟性がなくては不可能である。

基本的にある種の独特な芳香をもつものは植物細胞内で合成される精油、またはポリフェノールであるが、これらにはかなり強力な抗菌、殺菌作用、抗ウイルス作用をもつものがある。

例えばミカン科のキハダという高木の樹皮には黄色色素、アルカロイドのベルベリンが含まれているが、これは現代医学の抗生物質と同等かそれを越える殺菌力と殺菌スペクトルがある。

ある種のカビ、ウイルス、インフルエンザ、私はこのウイルスは存在せずバクテリアと考えている。
それらの呼吸や成長、繁殖を抑制する働きがある。
これは過去にキハダの当面の天敵は病原性微生物、またはバクテリアと想像できる。
アルカロイドのベルベリンは病原性細菌に対しては強烈な毒性をもつが、動物の場合は毒性が低いからである。

ある植物、例えばイラクサは極めて狡猾に計算し、葉の細胞に神経伝達物質であるセロトニンをためこんでいる。
動物や昆虫がこれに接触すると強烈な痛みが襲ってくる。
セロトニンが刺の先端から体内に入り、神経伝達物質として脳に伝達され激しい痛みを起こすのだ。

私も何度かイラクサに刺されたことがあるがスズメバチに刺されたような激痛を感じた。
一度イラクサに刺された動物や昆虫は学習し二度とイラクサには近づかない。
これがイラクサの効果的な戦略だったのだ。

イラクサ

こうして補食動物に完全に無防備、無力であった植物は個体の生命存続の恐怖と種の滅亡の恐怖に意識が覚醒し様々な対抗する機能の獲得に進化したのだ。

こうして動物の補食活動で食われぱなしだった植物は知恵を絞り様々な対抗手段を見いだしたのであった。
生物は環境に変化がなく平穏な状態におかれているときは既存のDNAに保存されている遺伝情報に基づいて複製するだけで良かった。

言うならば植物意識はこの状態では冬眠状態眠りに入るのである。

しかし生存環境に変化が起こり生命活動に重大な影響が及ぶと意識が覚醒し従来のDNAに記録された遺伝情報、つまり設計図では役にたたない。

植物がある種の危険な生存環境を乗り越えていくためには、その環境に適合した遺伝子の製造が急務である。
次元脳から進化した分子脳とも言うべき生命エネルギー、つまり能動的リボザイムが目覚めるのだ。
この分子脳はすべての動植物、微生物、バクテリアが有しており新しい形態と性質を合成するために不可欠なものである。

文:中村臣市郎

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