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第5章 30「農薬によって衰退する野菜の生命力 」

野菜は度重なる品種改良と、遺伝子改良によって作られ、農薬と化学肥料により育成されてきた奇形でもある。
こんなものは自然には存在しない。
また存在しても淘汰により消滅するだろう。

もともと野菜の原種には環境と生物間の過酷な世界を乗り越えていく強靭で不屈な生命力があったのだ。
天敵となる微生物や動物に対しては有毒成分や、殺虫殺菌物質、ポリフェノールで武装した強烈な苦味、酸味、えぐみなや昆虫や動物が嫌う忌避成分などを合成し身を守った。
これらの物質の生合成を破壊させるのが農薬と化学肥料、人工的な品種改良、遺伝子組み換え、ゲノム編集であった。

これが近代農法の大量生産大量消費の理論であり中身である。

天然の野生植物を見ればわかるが、これらの植物は化学肥料、農薬、保護なしでまして品種改良や遺伝子組み換えなどは無縁であり元気に健康的に育っている。
ヨモギはシネオ―ルという精油で、またタンニンで害虫を寄せつけない。
つまりこれこそ天然の安全な農薬なのだ。

ミカン科の高木キハダは内皮に猛烈な殺菌、抗ウイルス成分のアルカロイドベルベリンを進化の過程で合成した。
荒地、空地、干拓地、山野、庭先に猛烈に繁殖するクズはダイゼン、タンニンで害虫や動物の補食から身を守る。
たとえ少々食われてとしても猛烈な復元力で修復し再生する。
恐るべき生命力だ。
こんな力が野菜にあればそもそも化学肥料や農薬は必要ではない。

地上部が食いつくされ丸裸になっても成長ホルモンを大量に分泌させ、若葉を加速度的に吹き出し成長し成熟していく再生力がある。
また植物は動物ばかりでなく植物同士の熾烈な戦いと共存とともに生きている。
共生と相剋、このバランスが大切なのだ。
植物は自己を構成する元素や代謝、成長に必要な成分を土壌から吸収し、どの相手よりも早く背を伸ばして太陽光で光合成をしなくては生存できない。
細胞分化を亢進する成長ホルモンを合成し必要な知恵を結集していかなくては個体と種の保存はできない。
あるいは、ある種の物は目的の元素が獲得できない場合、元素同士を核融合反応で合成し調達するのだ。
生命の構造素材と代謝に必須なある種の元素を生物学的元素転換の方法を獲得していない植物はその元素を生合成できるある種の植物に凝集してくる。
またはそれを合成できる微生物の周囲に集まったり、根茎にそれら細菌、バクテリアを寄生させてミネラルを享受する種もあるだろう。
マメ科の植物の根茎に寄生する根粒菌類がそれだ。

カルシウムを元素転換で合成するスギナには、それを作ることができない植物がやがて生えてくる。
それと同時に共生もある。
植物同士が助け合いお互いに必要な元素を交換している例もある。
このようなシステムが長い時間で形成されたのだ。

これは植物同士、動物同士、微生物同士の間でも起きている共生であった。
多種多様な草木がわずか40センチの面積の土壌で高密度で群生できるのはこのような生物同士の元素転換、相互エネルギー交換が行われている可能性が高い。

第5章 31「耐性昆虫と農薬」

野生の植物と比べると、野菜、果物は、加工食品に分類できそうである。
これらの大半は原種と比較すれば栄養価が極端に低く、生命力がほとんど存在しない。
現代文明人は自然の条件下では考えられないほど生命力が低下した農作物を食べているのである。
単純な話だが生命力のない野菜を食べていては生命力が衰退していくのは当然である。
加工食品も尚更そうである。

先進国から後進国にわたり拡大するガン、慢性病、アレルギー疾患の蔓延は、人類が自然の摂理に反した農薬農作物、加工食品を食べてガンを抑制する免疫力が極度に低下したためだ。
つまり自然に生える植物、野生の動物や、天然の魚介類を自然の形で食べなくなったために起こる。

農薬と化学肥料、温室などの過保護、品種改良、ゲノム編集、水耕栽培、遺伝子組み換えなどの有毒な生命力のとぼしい不完全食を常食するために起こるのである。

食肉は抗生物質と合成抗菌剤、過度のホルモン剤の投薬、配合飼料に添加されている保存料、合成着色剤、魚介類もものだ養殖が大半を占めておりそれらも化学薬品でガッポリ汚染されている。
主食の米も殺虫剤、除草剤で種子の芯まで汚染されている。
こうした化学物質や重金属は、体内で解毒分解されず、生体に残留し、蓄積し、やがて細胞毒、となり発ガン性や神経障害、内臓障害、難病、アレルギー、流産、奇形などの原因となる。

イギリスの産業革命以後、人類が製造した化学物質は300万種に及ぶのだ。

農薬の除草剤として無制限に農作物にばらまかれた枯葉剤であるダイオキシンは史上最強の発ガン物質であった。
猛毒のPСΒや環境ホルモンとして働くフタルサンエステル、可塑剤の塩ビモノマ―、船や魚網に使う塗料有機スズ、ΤΒΤΟ、アスファルトのコルタ―ルなど数え上げるときりがない。

第5章 32「耐性昆虫と農薬2」

人類の手による新しい有機化合物の合成はとどまることなく年間2万種の新しい化学物質が合成され、
その2-5%が文明の生存環境に提供されている。
日本人の食品から体内に入る化学物質は1日4グラム前後といわれている。
地球規模で多発し蔓延していくガンや原因不明の疾患、慢性病の激増や流産、奇形の多産、統合失調症などの知的障害などはこのような有毒な化学物質と無縁ではない。

近代農業の発展は人類に余すことなく食料を提供した功績は評価すべきであった。

何しろ78億の膨大な人口を支えるものは農薬と連作障害を克服した化学肥料だという認識もある。
また抗生物質やホルモン剤がなくては、膨大な人類を養う動物タンパク質は不可能だという説もある。

養殖、魚介類も同様である。

しかし考えてみると農薬や化学肥料を投薬しないと成長できないような作物を作ったのは人間である。
自然の野生植物な人工的に配合された化学飼料で成育した動物に比べてけた違いの免疫が存在し、有害な病原菌やバクテリアに対して抵抗力がある、
魚類も同様である。植物は殺菌、殺虫物質を放出させて、害性動物を寄せつけない。
そうやって生命は37億年に渡って生きてきた。
137億年前に真空の無の揺らぎから爆発的に派生してきたビックバンは現在も絶えず物質から生命エネルギーに転化して展開している。
人類が開発した農薬は有機塩素系、有機リン系、細菌ではタバコのニコチンと化学構造が似ているネオニコチノイド系の殺虫剤が主流である。

この化学物質は、神経にはアセチルコリンエステよって生命活動を行う動物に対して致命的な障害を与える。
動物の活動は脳により伝達された神経伝達物質が神経細胞に伝達され、それがアセチルコリンエステラ―ゼ―に一度分解されるようになっている。
ところが農薬はこの一連の神経伝達機能を阻害させる働きがある。

地球生命で神経が最も高度に発達した生物が高等動物と昆虫である。
従って神経をもつ動物の全てが神経毒の農薬に敏感に反応するのだ。

この意味で農薬は人、動物、益虫、益鳥、絶滅危惧種、希少生物に対して無差別的に毒性を表すのだ。
生物系統ばかりでなくその生物の支持基盤である地球環境の汚染と破壊をもたらすのだ。

2006年10月、わずか6ヶ月で、全米のミツバチが消滅するという事件が起きた。ミツバチは強力で正確な帰巣本能があり大量に蒸発するということは考えられない。
ミツバチの大量死は250億匹に及びその被害総額は240億ドルに達したといわれている。
日本でも九州宮崎県鹿児島県でミツバチの大量死が続発した。
この現象は現在でも続いているのだ。
ミツバチの膨大な大量死は人類滅亡のシグナルではないのか。
実際ミツバチは環境指標生物として環境の変化に敏感に反応するのだ。
蜂の受粉活動は人類生存を左右するほど重大である。
ミツバチの受粉活動に依存する野菜、果物の収量が撃滅し、人類の食物需要に大打撃を与えることになる。
ミツバチの大量死は水爆並みに遠方まで拡散するネオチコチノイド系由来の化学農薬であることが判明している。

近年開発された恐るべき農薬、殺虫剤、ネオニコチノイド系農薬は原爆並みの威力を発揮する。
一度ある農地で散布すれば8キロ四方に拡散し昆虫や動物に重大な影響を与えることになる。
これにより周囲に生息する小動物、昆虫、水性動物が撃滅する。
昔、小川や水田にいたメダカ、ドジョウ、ヤコ、ザリガニ、タガメ、ゲンゴロウなどがほとんど絶滅したがそれも農薬の激烈な神経毒、殺虫剤であった。
ネオニコチノイドの構造物質はタバコのニコチン由来の合成化学物質であった。
近代大規模農業の収量増大の目的から生れたて殺虫剤や殺菌剤害虫や病原菌は一度潰滅されるが、生き残った昆虫菌類が、生存の危機と伝達のために、農薬の毒に耐性をもつ遺伝子を合成するのだ。
例えばこれが昆虫であると、殺虫剤の作用原理である神経毒の構造分子活性体を解析し、その部分を不活性にするような、解毒酵素を合成したり、農薬の構造成分が、細胞のレセプタ―に結合しない仕組みを考える。
これは恐るべき知性だ。
この複雑な合成過程の情報が遺伝子として新しく記録される。
核酸はDNAの保存情報にもとずいて、原料である元素を結合させ、分子を作り、農薬に耐性をもつ複雑な構造物質を作り、農薬を解毒する。
こうして農薬が効かない強靭な耐性昆虫の出現である。

第5章 33「農薬と耐性昆虫3」

農薬毒を分解する物質が酵素であれば、リボザイムは細胞内のアミノ酸分子を計画的に繋ぎ合わせ、さらに分子を結合させて、分子量数万、数十万単位のある種の特異的な構造をもつ新しい酵素を合成する。

こうした酵素はある種の農薬の化学物質の分子を溶解させて中和し無効とするのだ。
農薬は大気中、水源、地下水、土壌に広範囲に拡散し自然系、生物系代謝されないものは、残留し、生物の食物連鎖を通じて、段階的に高次に濃縮されていくことになる。
やがて毒をばらまいた人類が食物連鎖の最高位あり高密度に濃縮されたこれら農薬を食べることになるのだ。
1980年に製造禁止となったDDΤ 殺虫剤、ΒΗС、種子殺菌剤、ダイオキシン、除草剤、重金属の鉛、水銀、カドニュウム、ヒ素などが日本人の血液中に高濃度で検出された。

農薬は神経毒の他に発ガン性、催奇性、遺伝毒性、奇形、流産、統合失調症などの原因物質になっている。

日本ではすでに禁止されたDDΤは米国や後進国などで現在も使われており大規模な環境汚染を繰り返している。
DDΤは極量でも環境ホルモンとしてして生物体内で働き、海洋生物や陸上生物の生殖器官を攻撃し雄の生殖器官の変質、萎縮して生物の生殖機能を破壊させる。

農薬の毒に耐性をもつ昆虫や細菌はそのものが驚くべき高度な精密な方法で、人類が製造したほとんどの農薬に対して、耐性をもつ遺伝子を合成して農薬を中和するのだ。
こうした化学的作業は人類が実験室で産み出してきた化学、物理学、電磁学、量子学の理論を越えた方法で農薬を解毒するのである。

細菌の場合は高等動物の細胞内にあるDNA、デオキシリボ核酸以外にも、もう一つの遺伝子情報を担うプラスミドがある。
ブワラスミドは細菌の生存活動に何らかの問題が発生したときに既存のDNAだけではこの新しい環境変化を乗り越えていくために作られた能動的で創造的なDNAであった。
細菌はその装置を使って、抗生物質や殺菌剤などの化学構造体と、その性質を解析し、農薬に耐性をもつ物質の製造や、機能を獲得する。

第5章 34「農薬と耐性昆虫4」

そこで人類はそれらの耐性昆虫、耐性菌に対して有効な抗生物質や農薬を開発し毒薬を浴びせる。
新しい毒物の開発によって、ほとんどのものが死滅するが、生き残った数%の昆虫と菌が新しい耐性を獲得して出現する。

人類はこうした耐性生物に対して新しい農薬と抗生物質で駆逐しようとするが、生命力と生命力の壮絶な闘いの無限の悪循環の連鎖が続くだけである。

そのうち地球規模の農薬の拡大汚染が広がり、空気も水も土壌も地下水も致命的に汚染されるのだ。
食物連鎖の頂点に立つ人類は一番濃縮係数の一段落高い農薬という毒物を自ら食べることになる。

世界中で激増している農薬死やガン、生命力奇形、流産、原因不明の難病、アレルギー、皮膚病などの疾患はほとんど化学病なのだ。

文:中村臣市郎

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  1. 2023年 9月 10日
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