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有毒植物の生命力3

トリカブトのような猛烈で即効的な急性毒性はないが、摂取の過程でジワジワとその動物の臓器、器官、人体の代謝システムを阻害させる生理活性物質として働き、慢性中毒を起こさせ、発ガンや内蔵障害、遺伝毒性、催眠奇性、奇形、突然変異を起こさせ動物の子孫とその生態まで影響を及ぼす毒として働くのだ。
これらの有毒植物は、動物や病原性微生物、有害バクテリアなどに対して生存活動に不利な生化学的な方法で有効な防御化学物質を植物体内で合成し、生存活動と種の繁栄を可能にさせるものである。

ここで紹介するツワブキも冷害ではない。
ツワブキはキク科の多年生で日本では福井、福島県以西,中国東部、朝鮮半島にかけて分布する植物である。
比較的温暖な海岸、その近辺の雑木林、砂浜、岸壁などにしばしば群生がある。
葉の形状と光沢が食用のフキに似ているところからツワブキと呼ばれようになった。
私も海岸線、雑木林などを探索した時、しばしばツワブキの群生を見たことがあるが夏に咲く黄色の中輪の花は見事であった。
端の肉厚の深緑色ニ光沢があり形もよく園芸植物として各地で栽培されている。
しかし地方ではその茎が美味であるところから山菜として食べられている所も少なくない。
しかもツワブキには有用な薬理成分が全株に存在し解毒、消炎、殺菌作用があるところから海産物の中毒、皮膚病、打撲
キノコ中毒に使われてきた歴史がある。
特に腫れ物などの化膿性皮膚疾患によい。

ツワブキ

根茎はタクゴと称され中國ではこれを清熱、解毒、打撲傷などに用いている。
中でもツワブキの有用成分が皮膚疾患に特異的な働きをすることが確かめられている。
葉の抗菌成分はヘキセーナールタンニン、葉緑素である。
だがツワブキは猛毒であり常用すれば慢性中毒を起こす可能性がある。
毒の主成分はピロリジン型アルカロイドのセンキルキンで、中毒量を摂取すると肝臓に毒性を発揮し、ガンを高率で誘発させるという危険物質である。
急性中毒の場合は肝機能が悪化し肝細胞が連鎖的に壊死を起こして肝硬変に変異し、黄疸、腹水、昏睡を経て死に至る。
急性中毒に達しない量では慢性中毒、または慢性肝炎に至る例が多い。
解剖学的な所見では肝臓中央小葉の部分的、全体的な封鎖による肝静脈封鎖症、館蔵中央小葉の出血性壊死、肝細胞の巨胞化などが起こる。
こう考えるとツワブキのセンキルキンは肝臓と腎臓を攻撃し強い細胞変性、細胞毒性をもつことがわかる。
また強烈な発ガン性、染色体の破壊、奇形などを起す毒である。
これらの肝臓破壊、発ガン性を秘めたものとして、キク科、サワギキョウ属の多くのものに、ピロリジン環を有したものが多数存在し、それらは特異的なアルカロイドを含有している。
これらピロリジン環を保有するものとしては、マメ科、ムラサキ科、ラン科、キョウチクトウ科があり一部、昆虫類、海洋生物から同種の成分が発見されている。
ピロリジンアルカロイドを加水分解するとピロリジン環の主体であるネシン部分とネシン酸と呼ばれる有機酸に分けられる。
昔からジャマイカ島の住民は7割が南アメリカの移民であり南アフリカでも家畜や人の肝機能障害が多発していることが確認されている。

ノボロギク


日本でも欧米から帰化したノボロギクがあるが、これはツワブキと同様のピロリジンアルカロイドが含有され肝臓障害、肝臓ガンを起こすピロリジン毒をもつのだ。
見かけが野菜のシュンギクに似ており注意が必要である。
ノボロギクは市街地の荒地、空地、路地、並木道、公園などにもかなり生えておりこれをシュンギクと間違えて食べると大変な事態になる。
有毒なピロリジン環をもつ古代単一植物がこれを合成し進化の過程で多様化して他の個体に伝達されてと考えられる。
これらの多くの植物には肝臓と腎臓、発ガン性があるが、トリカブトのエコニチンが動物の心臓に標的を絞ったようにこれれには捕食動物の肝臓と腎臓を攻撃し標的にしているのだ。
肝臓は解毒、合成、還元、分解、貯蔵という生命において主要な臓器である。
腎臓は体内の老廃物を排出、または再吸収し血液の酸塩基平衡を調節している臓器であった。
こうした重要な臓器が破壊されればどんな強靭な巨体をもつ猛獣も衰弱し死に至る。

再生

草食動物、または雑食動物に捕食されたツワブキの破壊された根茎は特異期な成長ホルモンが分泌されて損傷面の細胞の修復が始まる。
損傷した細胞に代わり新しい細胞がかなりの速度で分化し増殖しやがて元の状態に戻る。
これが自然の治癒力であった。
ツワブキの強烈な攻撃的な液体免疫はピロリジン型アルカロイドのセンキルキンであった。
それは複雑な生化学的な反応過程をえて合成された化学物質である。
ツワブキにとってセンキルキンは個体生存の生命線であり、個体と種を継続させていく導火線である。
これなくしてはツワブキの生命は存在しないほどだ。
ツワブキは生存と繁殖を維持するために猛毒アルカロイド、ピロリジン型、センキルキンを合成し持続をさらに容易にし拡散発展していくエネルギーとして活用していくのであった。

タヌキマメ

トリカブトの毒は捕食動物の心臓と脳の中枢神経に作用しそれを攻撃し破壊するアコニチンを合成した。
相手の呼吸中枢を麻痺させ窒息させる毒でもあった。
それはかなり強力で即効性がある。
ツワブキの毒は心臓と神経ではなく、肝臓と腎臓に障害をもたらせ腹水やガンで天敵を衰弱させ中毒死させるセンキルキンという毒であった。
これに対しタヌキマメは正常な動物に腫瘍を発生させ臓器に障害を起こさせ衰弱させ死亡させる毒である。
それにはタヌキマメの高度な意識体から生まれてくる高等な知性と巧妙な計画があった。
私は何度かこの植物を見たことがあったがどう見ても食欲や興味をそそるものではなかった。
非常に小さく目立たない草である。
だがこれには巨大な猛獣さえ倒すことが可能な発ガン毒が含まれているのだ。
ツワブキは生存と繁殖を維持するために猛毒アルカロイド、ピロリジン型、センキルキンを合成し持続をさらに容易にし拡散発展していくでエネルギーとして活用していくのであった。

タヌキマメはマメ科の一年生植物であった。
一般に日当たりのよい草原地帯に散在している。
高さ20センチから50センチで、9月頃に紫色の蝶型の花を20個ほど開花させる。
花がないときはどこに生えているか目立たない草である。
だがこんな小さな草に猛毒の発ガン毒が含まれているのだ。
したがって油断はできない。
知らずに食べると中毒しガンになる恐れもある。
驚くことに中國ではタヌキマメを野百合と称して白血病の治療に応用している。
発ガン毒であるこの毒も裏を返せば抗ガン剤てもある。
発ガン毒はモノクロタリンである。
モノクロタリンはタヌキマメの全草中に含まれるが種子に0.2%含まれている。
モノクロマリンはマウスの肉腫、ラットのガンに対して、抑制効果が確認されている。
しかも即効性があり効果は24時間以内にて表れるという、まるで抗ガン剤並の即効性だ。
ガンの中でも特に膵臓ガンに対する抑制力があるようである。
その他のガン、胃ガン、皮膚ガン、子宮ガン、肝臓ガンに対して6割の効果があるという。
単独の抗癌剤の有効率がたった1割であるからタヌキマメに期待したいところだが、医学的に予想以上の毒性がある。
モノクロタリンは各種臓器、特に肝臓、肺臓、腎臓に対して蓄積性がある。
その臓器の部分に有毒なモノクロタリンが集まるという動物実験の結果タヌキマメの毒性はあまりにも強大であった。
言うまでもなく抗癌物質は有毒植物の構成成分であるピロリジン環をもつアルカロイドであるから無理はない。
モノクロタリンの動物に対する致死量は半数致死量で11.6ミリグラムであった。
中毒症状の臨床症状は全身の出血と肝臓の出血である。

ザクロの毒

植物がある目的で製造する知恵は計り知れないものが潜んでいる。
意識体は物質的感覚では認識できないものである。
しかし仏教が教えるように、宇宙万物は素粒子の世界から原子、分子、高分子、植物、動物に至る個体まで存在し持続の方向に向かって作用している。
持続性の強いものを我々は生命力と呼んている。
それに近接したものが有毒植物油脂なのだ。

ザクロはザクロ科の落葉低木、または落葉高木であった。
高さ2メェトルから5メェトルになる。
成熟した果実は無毒であるが、未成熟の果実、樹皮、根茎、葉、それらはすべて猛毒である。
毒の本体はリジンというアミノ酸由来のイソペレチェリン、メチルイソペレチェリンなどだ。
ザクロは古い時代からその毒性を利用して害虫を駆除する殺虫剤として使われてきた。
害虫はザクロに敏感に反応し、0.1%溶液でただちに麻痺して致死する。
ザクロの樹皮に同族体のプソノイドチェリンが含まれ天敵の侵入を硬くガードしている。
根茎中のアルカロイドは、多量のタンニンと結合状態で存在する。
イソペレチェリンは害虫ばかりでなく、多種の病原菌、黄色ブドウ球菌、溶血性連鎖球菌、コレラ、大腸菌、緑膿菌、腸チフス、結核菌、ある種の病原性ウイルス、病原性真菌に対しても抗菌作用がある。
こんな猛毒のザクロでさえ中國では石留皮と呼ばれ、静菌性の下痢、慢性の下痢などに薬物として使用してきた。
役に立つものであれば猛毒のトリカブトさえ漢方薬にさせて利用するのが中国である。
しかし漢方薬にするにしても猛毒で、動物実験でも、カエル、モルモット、ネコ、ウサギに対して運動障害、呼吸麻痺による死亡が確認されている。
動物の致死原因は呼吸中枢麻痺であった。
石留皮アルカロイドの特徴は心臓を一時的に興奮させ心拍数減少させ骨格筋に対して、ベラトラムアルカロイドのような作用を示すが、末梢神経に対してはクラレー用の働きがあり、このために多量では完全な麻痺を起こさせ、自利神経系にニコチン用作用が表れる。
中毒量では瞳孔散大、一過性の盲目、頭痛、吐気、下痢、極度の衰弱、ひきつけなどが起こる。
このように石留皮アルカロイドの働きは極めて複雑であり、各種の器官と神経、筋肉、呼吸などに多様に表れており、例えば骨格筋に対してはベラトラムアルカロイドのような働きがあり、末梢神経に対してはクラレー用作用がある。
自利神経系に対してはニコチン用作用がある。
したがってザクロは猛毒であり安易に食べると重大な中毒を起すのだ。

参考

ベラトラム・アルカロイドノルステロイド骨格をもつステロイドアミンで、ユリ科のバイケイソウ、コバイケイソウリシリソウ属、ナス科、トマト属に広く含有されている薬理活性物質である。
毒性が強く、よだれ、虚脱、吐気、呼吸心拍の減少、呼吸停止により死亡する。

参考文献 山崎幹雄、天然の毒より

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