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生命力の探求 9 「植物の天敵に対抗手段の臭覚」

lavender flower field blooms at daytime

こうした植物は動物に感覚受容体がある嗅覚が存在し、どのような臭いに拒絶反応あらわすかを分析し、考え、特定の生物に有効な臭気物質の合成にとりかかるのだ。
この製作には想像以上の高度で精巧な頭脳的化学構造体が作られる。

少なくともこうした分子構造を生成するには思考、計画、設計、有機活性などの条件がなくては不可能である。
越高層ビルの建造よりも高度で複雑な技法が要求されるだろう。
まして標的生物の嗅覚受容体のサイズに結合する必要があるのだ。

まさにこれは驚異の植物の知性であった。

こうした臭を放出する草木はアジアの熱帯、温帯、南米、北米、ロシア、欧米など広範囲に
がみられる。
特にヨ―ロッパのハ―ブであるラベンダー、カモマイル、ロ―ズマリーなどがそれだ、さらにアジアではミント類がその属に入るだろう。
これらの臭いのもとは精油でそれが細胞内で合成され液胞なとに貯蔵されて恒常的に放散される。

植物の細胞めがけて集まってくる昆虫や草食動物、または細菌などが接近するとその臭いは警告、威嚇を意味することになる。
致死性はないが忌避するための有効な方法でもある。

基本的にこのような精油を構成する成分にはある種のウイルス、バクテリア、病原性細菌、カビなどに抗菌、殺菌作用がある。あるいは原虫などを殺す殺虫成分を放出している植物もある。

例えばミカン科のキハダ内皮中に濃縮されるアルカロイドのベルベリンは抗生物質と同じレベルの抗菌、殺菌作用が知られている。
細菌だけではなくいくつかのインフルエンザウイルスにも有効である。

アルカロイドのベルベリンはウイルスや病原性細菌の呼吸や成長繁殖を強力に抑制する力がある。
おそらくこれは昔、キハダの天敵は病原性微生物だったと推定することができる。
動物に対しては比較的毒性はないからである。

ある植物、イラクサは効果的な方法を合成した。

green leaves plant
イラクサ


それはイラクサの葉に昆虫や動物の神経伝達物質であるセロトニン刺にためこんでいる。
これに刺されると強烈な痛みが襲ってくる。
セロトニンが針の先端から天敵の体内に浸透し、神経伝達物質として脳に伝達され毒針に刺されたような激痛を生じさせるのだ。

これにより動物や昆虫は補食活動をやめて逃避する。

こうした経験をした動物は二度とイラクサには近づかない。

こうして動物の補食活動で食わればなしだった植物は知恵を絞り様々な対抗手段をこうじたのだ。

つづく

文:中村臣市郎

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