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見過ごされてきた薬草・稲わら ―― 肝臓を癒す驚きの薬効と活用法

はじめに

田んぼで稲を刈り取った後、黄金色に輝く稲わら。多くの人にとって、それは飼料や堆肥の材料、あるいは処分すべき「残渣」に過ぎないかもしれません。しかし、私たち薬草教室生愛会が学びを深める中で、この稲わらこそが、古来から伝わる優れた薬草であることが明らかになってきました。

特に注目すべきは、肝臓疾患への驚くべき効果です。薬草研究家・中村臣市郎先生の報告によれば、20年来の慢性肝炎に苦しんでいた方々が、稲わら茶を1〜2ヶ月継続して飲用することで改善したという事例が複数報告されています。さらに肝硬変にまで進行していた方も、稲わら茶を続けることで症状が安定したといいます。

本記事では、この「見過ごされてきた薬草」である稲わらの薬効を、成分分析と伝統医学の両面から解説し、安全な活用法をご紹介します。

第1章:稲わらの成分と薬理作用

ケイ素(シリカ)の豊富な含有量

稲わらの最大の特徴は、ケイ素(シリカ)を豊富に含むことです。その含有量は乾燥重量の約10〜20%にも達します。ケイ素は地殻中で酸素に次いで多い元素ですが、人体においても重要なミネラルの一つとされています。

ケイ素には強力な抗酸化作用があり、体内の活性酸素を除去することで細胞の老化を防ぎます。また、コラーゲンの生成を助け、血管・骨・皮膚・髪・爪などの結合組織を強化する働きがあります。近年の研究では、ケイ素が免疫機能の向上や、デトックス(解毒作用)にも関与していることが示唆されています。

ポリフェノールと抗酸化物質

稲わらには、複数のポリフェノール類が含まれていることが研究で明らかになっています。ポリフェノールは植物が紫外線や害虫から身を守るために作り出す成分で、人体に摂取されると強力な抗酸化作用を発揮します。

これらのポリフェノールは、肝臓における解毒酵素の働きを活性化し、肝細胞の保護と再生を助けると考えられています。また、動脈硬化やがんの予防効果も期待されており、生活習慣病の予防という観点からも注目されています。

ミネラルバランスの宝庫

稲わらには、ケイ素以外にもマグネシウム、リン、鉄、カリウム、カルシウムなど、多様なミネラルが含まれています。これらのミネラルは、体内の酵素反応や代謝機能に不可欠な補因子として働きます。

特に肝臓は、体内で最も代謝活動が活発な臓器であり、多くの酵素反応が行われています。ミネラルバランスの取れた稲わらの摂取は、肝臓の機能を総合的にサポートする可能性があります。

第2章:伝統医学における稲わらの位置づけ

日本の民間療法における実践例

薬草研究家である中村臣市郎先生の報告は、稲わらの薬効を語る上で極めて重要です。先生の生徒さん4名が、いずれも20年来の慢性肝炎に苦しんでいましたが、稲わら乾燥品30グラムをコップ5杯の水(約1,000ml)で60分間煎じ、それを2ヶ月間常飲したところ、驚くべき改善が見られたといいます。

4名のうち3名は1ヶ月で改善し、1名は2ヶ月を要したものの、全員が症状の改善を実感しました。特に注目すべきは、そのうちの1名が慢性肝炎から肝硬変にまで進行していた重症例であったにもかかわらず、稲わら茶の継続飲用により症状が安定したという点です。

ただし、稲わらの有効成分と肝臓に対する薬理活性作用、薬理成分の分子構造についてはまだ十分に解明されていません。科学的なメカニズムの解明は今後の課題ですが、長年の実践に基づく経験知として、その効果は注目に値します。

東洋医学的視点から見た稲わら

東洋医学では、稲わらを含むイネ科植物全般に「清熱解毒」「利水消腫」の作用があるとされてきました。「清熱」とは体内の過剰な熱を冷ます作用、「解毒」は毒素を分解・排出する作用、「利水」は水分代謝を促進する作用、「消腫」はむくみを取る作用を指します。

肝臓は東洋医学において「解毒の要」とされる臓器です。現代医学でも、肝臓は体内の毒物や老廃物を分解・無毒化する最大の解毒器官として知られています。稲わらの「清熱解毒」作用が、まさにこの肝臓の働きをサポートすると考えられているのです。

イネ科薬草の共通性

興味深いことに、稲わらと同じイネ科に属する植物には、古くから薬草として利用されてきたものが数多く存在します。

スギナ(問荊)は、利尿作用が強く、腎臓病や膀胱炎、むくみの改善に用いられてきました。スギナもケイ素を豊富に含むことで知られています。

ススキ(芒)の根茎は、急性・慢性腎炎、浮腫、高血圧に効果があるとされ、民間療法で広く利用されています。

ヨシ(蘆根)は漢方薬としても知られ、清熱・利尿作用があり、発熱や口渇に用いられます。

これらイネ科植物に共通するのは、ケイ素を多く含むこと、利尿・解毒作用があること、そして肝臓や腎臓といった解毒・排泄器官をサポートする働きです。稲わらもこの仲間として、同様の薬効を持つと考えられます。

第3章:稲わらの安全な活用法 ―実践編―

稲わら茶(煎じ薬)の作り方

稲わらを薬草として活用する最も一般的な方法が、煎じてお茶として飲む方法です。以下に基本的なレシピをご紹介します。

【材料】

無農薬稲わら乾燥品:30g
水:1,000ml(約5カップ)
【作り方】

稲わらをよく水洗いし、ゴミや汚れを取り除く
天日でしっかりと乾燥させる(すでに乾燥品の場合はそのまま)
鍋(できればホーローや土鍋)に水1,000mlと稲わら30gを入れる
弱火で60分間じっくりと煎じる(途中で水が減りすぎたら足す)
茶漉しやガーゼで漉して完成
【飲用方法】

1日3回、各回約300mlを目安に飲む
温かいまま飲んでも、冷蔵保存して冷やして飲んでもよい
できれば空腹時(食前30分〜1時間前、または食間)に飲む
冷蔵保存で2〜3日以内に飲み切る
【継続期間】 最低でも1ヶ月、できれば2ヶ月は継続して様子を見ることが推奨されます。体調の変化を日記などに記録しながら飲用すると、効果の有無を客観的に判断できます。

その他の活用法

入浴剤として 稲わら100〜200gを布袋に詰めて浴槽に入れます。お湯に溶け出したケイ素やミネラルを皮膚から吸収することができ、血行促進や皮膚トラブルの改善が期待できます。アトピー性皮膚炎や乾燥肌、かゆみのある方が民間療法として活用している例もあります。

外用として 通常より濃く煎じた液(水500mlに稲わら30gで30分煎じる)を、皮膚炎や虫刺され、湿疹などの患部に塗布する方法もあります。また、布に浸して湿布として関節痛に当てる使い方も伝えられています。

第4章:重要な注意事項と禁忌

絶対条件:無農薬であること
稲わら活用において最も重要な注意点は、必ず無農薬・無化学肥料で栽培された稲わらを使用することです。

現代の慣行農法で栽培された稲には、殺虫剤、除草剤、殺菌剤などの農薬が使用されることが一般的です。これらの化学物質は稲わらにも残留します。農薬が残留した稲わらを煎じて飲用すれば、健康被害を引き起こす危険性があります。

中村臣市郎先生も「ただ稲わらは完全無農薬に限る」と強調されています。この点は絶対に妥協してはなりません。

使用上の注意事項
初めて使用する方は、まず少量から試してアレルギー反応がないか確認してください
妊娠中・授乳中の方は使用前に必ず医師に相談してください
持病がある方、服薬中の方は主治医や薬剤師に相談してから使用してください
肝臓疾患で治療中の方は、稲わら茶を飲む前に必ず担当医に相談し、定期的な血液検査を継続してください
飲用中に異常(発疹、かゆみ、吐き気、腹痛など)を感じたら直ちに使用を中止し、医療機関を受診してください
医療との関係を正しく理解する
稲わらはあくまで民間療法の範囲であり、医薬品ではありません。肝臓疾患などの治療において、医療行為の代替として使用することは危険です。必ず医師の診断と治療を受けた上で、補完的な健康法として活用するという姿勢が大切です。

改善事例が報告されているからといって、すべての人に同じ効果があるとは限りません。個人差があることを理解し、過度な期待は避けましょう。

入手方法と保管
信頼できる入手先を確保することが重要です。

自然農法・有機農法を実践している農家から直接譲り受ける
薬草教室のネットワークで情報を共有し、安全な入手先を確認する
自分でバケツ稲やプランター稲を無農薬で栽培する
保管方法

完全に乾燥させてから密閉容器に入れる
湿気を避け、冷暗所で保管する
カビや変色、異臭がないか定期的に確認する
保管期間は1年以内を目安とする

おわりに

稲わらは、私たちの身近にありながら、その薬効が見過ごされてきた貴重な薬草です。特に肝臓疾患への効果は、民間療法の実践例として注目に値します。

ただし、安全性を最優先に考え、必ず無農薬の稲わらを使用すること、医療との関係を正しく理解すること、そして自分の体調の変化を注意深く観察することが大切です。

薬草教室生愛会では、このような身近な植物の価値を学び、伝統的知識と現代科学の両面から理解を深めていきます。稲わらという「見過ごされてきた宝物」を通じて、先人の智慧に学び、安全で豊かな健康生活を目指していきましょう。

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