生命力の探求 6
7憶年前生物は海底で細々と海底の土砂の有機物をすくいとって細々と生きていた。
口、嗅覚、またな触覚をもつ原始海洋動物であった。
7種前後の動物である。
むろんその他にも光合成細菌やバクテリア、鉱物をエネルギーにする細菌などである。
これらの他に軟体動物や、海綿類、有爪類など数十種が海底、海水中のプランクトンなどをこしとって生きていたに過ぎない。
この時点では捕食、弱肉強食という生物同士の争いはなかった。
時は静かに流れた。
だが5億4000年前に生物大爆発というビックバンが海洋中で起きた。
精巧で高度な眼球と口器に鋭い刃物のようなキバ、強靭な顎をもつ動物が出現したのだ。
さらに海中を敏速に移動するヒレさえあった。
生物は初めて巨大な捕食者の出現に保身するためにどれもが珪酸塩や炭酸カルシウム、マグネシウム、シリカなどの堅い強靭な外郭を身につけていた。
三葉虫がそれだ。
全盛期には世界各地の海洋で爆発的に大繁殖したが、それには獰猛で巨大な天敵があった。
カンプリア紀最強の肉食動物、アノロマカリスであった。
何しろ体調1メェトル50センチ、という大型の補食動物で小型の節足動物である三葉虫をエセにしていた。
同じ節足動物であるアュシュアイアは鋭い歯で海綿類を主食にしていた。
奇妙な形をしたハルキゲニアは、死んだ動物の腐肉をエサにして群がった。
分類不明のオパバニアなどカンブリア紀州には多種多様な生物が出現し現代の動物門のすべてが出そろったいわれる。
これは何一つ有効な保身用具をもたない植物にとっては驚異であった。。
何しろ肉食性のものばかりでなく、植物を補食する草食動物がすでに5億4000年前に出現していたからである。
しかもそれら捕食者は獲物を発見する高度な解像力をもつ高性能の複眼を有していたのだ。
これは猛烈な恐るべき武器であった。
堅い肉体を悔いちぎる鋭い鉱物質の歯と、貪欲な消火剤を分泌する強靭な消化菅と腸を装備していたのだ。
文:中村臣市郎
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