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天然のヤマイモ

海抜800メェトルの雑木林を必死で背中をかがめ血眼になって薬草を探し回った。
何か食い物はないかその一心であった。
それ以外にはほとんど興味はなかった。
だが目的は濃密な粘りがあるヤマイモである。
すりおろして醤油でまぜてご飯の上に落として混ぜるとこの世と思えないほどの美味が楽しめる。
ヤマイモはツルであるからてきるだけ大きな太いツルを探した。
ツルが太いと地下に埋もれている紡錘形の根それだけ大きのだ。
大きければそれだけ食べがいがある。
洗いざらいまとめて採る必要があるなとつぶやいた。
何しろ採集収奪はお手の物である。
一度山に入るとそこら辺の草が全滅するほどだ。
まさにヤマアラシであった。
ヤマイモのうまさを思いだすと勝手に手が動きだした。
舌も手も体全体が脳の海馬が記憶しているようだ。
辺りはアカメガシワ、ホオノキ、モミジ、アオキ、シダ類が生い茂り、その幹にかなりの大きいヤマイモのツルがすてに黄色に紅葉していた。
その葉の形はハート形または楕円形である。
有毒植物のオニドコロがあるがこれはヤマイモにそっくりだ。
がよく見ると葉の形が楕円形てはな幅が広いハート型である。
間違えると大変な目にあう!

紛らわしいのはヤマイモとは別な草のツルがかなり多いことだ。
木質のアケビ、ムベ、ビナンカズラ、チリメンカズラ、ブジアオツヅラフジ、オオツツザラフジなどがそれだ。
むろんその7割が薬草だ。

無駄にはしないが、今はとにかくヤマイモしか目がない。
背中を丸めて腹を地面につけてヘビのようにくねりながらツルを捜索した。
しばしば頭をひょいと回転させると幹にかぶつかり、その度に衝撃でツルにかろうじて付着していたゴツゴツとしたムカゴがパラパラと落ちてきた。


このムカゴを塩で炒めて食べるとヤマイモ以外の味が楽しめる。
しばらくは頭上の大きなムカゴを選択して枝から実を叩き落とした。
枯れたモウソウダケの筒にムカゴを必死で落とした。
コンコンとうまそうな落下音。
舌と胃袋が反応しヨダレをだして身悶える。
舌の先端の細胞が突然変異を起こして半分増殖しカエルの舌のように20センチほど急激に伸びた。

「ウへへへ ヒヒヒヒヒヒ ヒヒヒヒ」

待てないのか舌が自発的に動きだしてムカゴをを過敏速に捕獲し舌を伸ばしてヒョイと口に加えた。
こりゃうまいと叫んだ。
舌が舌の唾液をタップリと出していた。

「コリャなんともいえないほどうまい!コリャいい。」

今夜の夕食はどうやらムカゴノの塩炒めとヤマイモの濃密な高濃度の粘り汁であった。

「これは効きそうだ。ヒヒヒヒヒヒ ヒヒヒヒ、グェツ」

その後、広大な原生林の中を必死でイノシシになってヨダレを口から垂れ流して険しく鋭い猛獣のような眼球を血走らせ猛烈な勢いで突進した。
巨大なヤマイモはないのかと無心で叫びながらランダムに無方向で探し回った。
何度が草藪の根本に猛毒のマムシが牙をだして口を開いていたが足で蹴散らして頭をグシャリとひねり潰した。
だが突然、体長3メェトルの巨大なオスイノシシが猛烈な勢いで突進して飛び上がってきた。
まるで巨大な岩のようだ。
まともに衝突すればチリヂリに粉砕されるのでうまく機敏に身をかわして避ける。

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