生命力の探求 第三章 16「薬草の生命力」
全国各地で猛威を震うクズは、ダイゼン、タンニンを製造して宿敵から身を守る。
例え少々肉を食われたとしても成長ホルモンを分泌させて爆発的に細胞を増殖させて再生するのだ。
地上部が丸裸になり光合成活動が一時止まったとしても、根茎のどこかの部分にデンプンの蓄える場所があり、それを使って新芽をだして成長し成熟する再生力がある。
また植物は動物ばかりでなく植物同士の生きるか死ぬかの相克があり共存しながらも熾烈戦いの中におかれているのだ。
植物生命の構成元素の他にも生命活動に必要な栄養を土から吸い取り、太陽光を求めてできるだけ高く成長していかなくては他の植物の競合に負けて枯死する恐れがある。
細胞組織を縦に横に拡大し自己の成長環境を確保しなくてはならない。
細胞を分化させるホルモンを合成し、必要な知恵をしぼっていかないと植物は淘汰され消滅していくのである。
欠乏した元素を核融合反応で調達し、生命活動を維持させるのもその一つであった。
生命の構造元素の獲得と代謝に不可欠なある種の元素を生物学的元素転換の方法、つまり機能を獲得としていない植物、または土壌中にそれらの元素が欠乏している場合などに、それを細胞内で合成できる植物にこれを享受しようと他の植物が集まってくる。
カルシウムを生合成できるスギナの近くには、それを作ることができない植物が好んで生える。
それと共に植物同士が必須元素を互いに交換し共存している場合もあるだろう。
生物進化の過程でこのような生物生態系の共存共栄システムが生成されたといってもよい。
これは植物同士の他に動物同士、菌類同士、微生物同士の関係においても見いだされる。
多種多様な草木がわずか1メェトルの範囲で、その表土に化学肥料もなく高密度に群生してあることはまさに驚異である。
文:中村臣市郎
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